離婚した旦那さんの遺品整理
今回の遺品整理の依頼者は故人と離婚した奥さんでして、見積もりをするために19時ごろに部屋に入り、電気をつけようとスイッチを探していると、頭に紐のようなものが当たり、照明を付けた時にその正体がわかったのですが、天井の柱に掛けられたロープだったので、瞬時にそのロープを使用して故人は天国へと旅立って逝かれたのだと分かりました。
数十年も遺品整理に携わってきた私は、今までに何度もこのようなロープを見てきましたが、実際に手で触れたいとは思いませんし、自殺現場となった部屋の場合、ほとんどの遺体は床に落ちた徐歌で発見されるのですが、稀に白骨化した死体がロープに下がったままにされていることもあります。
首つりをしている遺体が発見される部屋の床は、独特の汚れ方をしているもので、この日の畳もその跡がしっかりと残されていました。
遺体があった場所を踏まないようにし、奥の部屋に入って電気を付けると、驚くほどのビデオテープの山があり、そのすべてがアダルトビデオでして、このビデオのほかにもパソコンが4台と、写真週刊誌やアダルト雑誌が100冊以上出現しました。
これだけの量とパソコンがあると、アダルト系の専門家だったのかということも考えられますが、壁一面に張られている写真で、その考えは打ち消され、自分自身のものと思われるペニスが写し出されていたので、マニアと呼ばれる方の人だったと思います。
部屋の中央で、これだけの莫大な遺品をどのように処理しようかと考えていると、依頼者の奥さんと20代の娘さんが入ってきたので、あまり見られない方が良いと2人に声をかけたのですが、2人とも分かっていたようで、心配しないでくさいと逆に気を使ってくれました。
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人間には理性とは別の何か
その親子は、平然とそのアダルトコレクションの部屋に入ってきて、まじめそうな娘さんが、恥ずかしいというより、お父さんは変わってなかったねと母親に言い、その母親は、でも仕方ないの、可哀想だから何とかしてあげようねと、娘に返事をすると、今度は私に向かって、「こんな部屋の片づけですが、お願いしても大丈夫ですか」と言われるので、私は勿論ですと頷き、死臭がひどいので取りあえずその日のうちに遺体のあったな所の処理を済ませて、翌日に改めて完全撤去することにしました。
失礼と思いながら、奥様に離婚の原因などを聞くと、その理由はやはり故人の性癖とアダルトコレクションにありまして、その趣味さえなければ良い父親であったとのことです。
奥さんの話を聞きながら、人間には理性などでは何ともならない業があるのだということを実感させられました。
そんな分かれた夫を恥じるわけでもなく、可哀想だと言った奥さんと娘さんに、一人の人間としてエールを送りたい気持ちです。